元カレ弁護士の恋事情
(……あんなこと、言ったくせに)

 忙しいことはわかってる。けれど、寂しい……と思ってしまう自分がいる。
 こんな気持ち、ずっと忘れていた。
 あの頃──別れたと思っていた時を思い出して、知らず目頭が熱くなる。

 その時、スマホからメッセージの通知音が鳴った。
 確認すると、久我さんからだった。
 
『今夜19時、あのバーで待ってる』

 たったそれだけのメッセージなのに、胸が一気に高鳴った。
 今夜、久我さんに会える。
 それだけで、さっきまでの寂しさが嘘みたいに吹き飛んでしまう。
 ……単純すぎるでしょ、私。

 今度こそ念入りに化粧を直してからバーへ向かう。先日のデートの時だって緊張したのに、今日はそれ以上にドキドキしている。
 久我さんは相変わらずのスーツ姿で、カウンターに座っていた。
 横顔に思わず見とれてしまい、慌てて頭を振る。
 ダメダメ。はしゃいじゃダメ。私の早とちりのせいで、別れたと思い込んでいたんだから。
 今日はちゃんと落ち着いて、普通に話そう。
 私は心の中で何度も自分に言い聞かせた。
 
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