吸血鬼専務は私を逃さない〜契約から始まる極甘婚約〜
第一章

0・プロローグ


 ありえない、と思った。

 あの夜。
 倒れていた男を助けようとして──私は、血を吸われた。

「おまえ、このままだとあと五年で死ぬぞ」

 突然告げられた言葉は、冗談とは思えなかった。
 彼は、人間じゃない。
 私の血を求める、吸血鬼だった。

 それだけでも十分おかしいのに。
 なぜか彼は、私の勤める琴吹製薬に専務として現れて──
 社長である父まで味方につけて、私の生活を管理すると言い出した。

 ストレスを減らして、健康を整える。

 その対価は、三週間に一度の〝血液検査〟。

 ……それはつまり、吸血ということらしい。

 そして。
 そのすべてがうまくいった暁には──
 私と彼は、婚約することになるという。

 どうして、そんな話になるのか。
 わからないことだらけなのに。
 それでも、彼は言った。

「おまえは、もう俺のモノだ」

 ──ありえない、はずなのに。
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