嘘つきな3人
外へ出ると、夜の空気が少し冷たい。
隣を歩く伊久間くんは、昼間と同じようにくだらない話をしている。コンビニの新商品がどうとか、直人くんがまた領収書を溜めていたとか。
途中の信号で足を止め、そんな話をしながら歩いているうちに、いつの間にかアパートへ着いていた。
隣り合った玄関の前で足を止める。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみ」
それだけ言ってそれぞれの部屋へ入り、部屋の明かりをつけカーテンを閉める。
静かになった部屋で、ふとさっき通り過ぎたクロッカスの明かりを思い出した。
暖かい色の照明と、カウンターの向こうにいた久我さんの声まで、なぜか一緒に浮かんだ。
「仕事の合間にでも、飲みに来て」
どうして思い出したのか、自分でも分からなかった。