最強ヴァンパイアに溺愛されています!
「白雪さん、卵焼き好き?」

玲が自分のお弁当箱をそっと開く。
きれいに並んだおかずの中から、ひとつを箸でつまんで見せた。

「甘めに作ってもらったんだ」

「わ、すごい……おいしそう」

「なら、ひとつどうぞ」

自然な動きで差し出されて、美月が戸惑っていると、今度は夜斗が割り込んだ。

「ずる。そういうのありなら、俺の唐揚げも食う?」

「いやいや、先輩たち距離近すぎですって」

奏多が身を乗り出してくる。
「美月先輩、俺のサンドイッチなら食べやすいですよ。はい、あーん」

「あ、あーんはちょっと……」

真っ赤になって慌てる美月を見て、夜斗が吹き出した。

「かわい。ほんと、いちいち反応いいな」

「からかわないでください……」

しゅんとなる美月の頭上に、ふっと影が落ちる。
見上げると、ルカがじっとこちらを見下ろしていた。

「無理に食わなくていい」

そう言ってルカは、美月の弁当箱を開く。
少しだけ不器用な手つきなのに、なぜか丁寧だ。

「お前は自分のを食べろ」

「で、でも……」

「口開けろ」

「えっ」

あまりにも自然に言われて、思わず固まる。
ルカは美月の弁当から小さなおにぎりをひとつ取ると、当然みたいに差し出してきた。

「昼、ちゃんと食べないとまたふらつく」

昨夜のことを知っているみたいな言い方に、胸がどきっとする。
いや、実際に知っているのはルカだけなのだけれど。

「……っ」

美月がおそるおそる口を開けると、ルカは満足そうにそのおにぎりを食べさせた。

一瞬、しんと空気が止まる。

「うわ」

最初に声を上げたのは奏多だった。
「それは反則でしょ」

「ほんとに遠慮ないな、お前」

夜斗が呆れたように笑う。
玲は微笑んだままなのに、目だけが少しだけ笑っていない。
冬真は黙っていたけれど、手にしていた箸をわずかに強く握っていた。

「おいしいか」

ルカに低く問われて、美月はこくんとうなずく。
するとルカは、それだけで機嫌を直したみたいに目元をゆるめた。

そんな小さな変化さえ、ひどく特別に見えてしまう。

「白雪さん」

玲がやさしく呼ぶ。
「放課後、校内を案内しようか。まだ分からない場所も多いだろうし」

「え、でも……」

「じゃあ俺も行く」

夜斗がすぐに乗ってくる。

「俺もです」

奏多も負けていない。

「……必要なら行く」

冬真までぼそっと言って、美月はますます目を丸くした。
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