英雄として死んだはずの夫が、隣国で結婚して私への褒美を盗みに来ました
 なんだろうか。
 虚しさが心の中に降り積もっていく。

「分かってくれ、エルザ。金が必要なんだ。今までこの侯爵家で、何不自由なく暮らしてきたんだろう?」
「あのお金が私に支給されるものだというのにですか?」
「お前は今まで俺が英雄として死んだことで、もう十分すぎるほど貰ってきただろう!」

 何も知らないくせに。
 何も見てこなかったくせに。
 都合のいい記事だけ見て決めつけるのね。

 ああ、ホント……馬鹿馬鹿しい。

「私の夫として生きるつもりもないのに、あなたは私のお金を欲しがるのね」
「それは……すまないとは思っているが……だが子どもが……」

 子どもは作らなければ、生まれることもないのに、それを言い訳にするなんて。
 
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