英雄として死んだはずの夫が、隣国で結婚して私への褒美を盗みに来ました
 おそらく向こうの貴族になるための手土産は、我が国の戦力や戦闘配備などの情報だったのだろう。

 だが問題は結婚した男爵家がうちよりもかなり貧乏だったこと。
 そこにさらに勝てると思っていた隣国が敗戦国となったことで、更に困窮を極めることになったようだ。

 本来ならば貴族がやらなくてもいい農地の開拓や力仕事なども、全て自分たちで行わなければならなくなったらしい。

 そんな中、新しい妻が妊娠し、まとまったお金が必要になったところであの記事が出たということだった。

「……」

 終始ニタニタと薄ら笑いを浮かべながら、恥ずかしさの欠片もなく説明をするアレンに、私はただため息をつくことしか出来なかった。

 別にこの人があの戦で死んでいて欲しかったとは思わない。
 生きていてくれたことは、否定しない。

 だけど……。
 私が一時でも愛した人は、こんな人だったのかしら。

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