英雄として死んだはずの夫が、隣国で結婚して私への褒美を盗みに来ました
 だけど呼んだところで、中にいるのが屈強な男だったら……。
 
 そう考えると、嫌な汗が背中を伝わっていく。
 心臓の音が耳につくほど大きくなり、呼吸も浅くなるのを感じた。

 私は中の人間に気付かれないように、そっと扉に近づく。

 扉の隙間からは、小さく光が漏れていた。

 確認しなくちゃ。
 今私はこの屋敷の全責任を背負っているのよ。
 それにもしかしたら、使用人がネズミでも捕まえているだけかもしれないし。

 どこかそんな楽観的な考えを持ってしまうのは、現実を直視したくないからだろう。

 私はそっとドアノブに手をかけ、一度大きく息を吸い込むと一気に開け放った。

「誰⁉」

 そう声を上げながら、左手に持っていた明かり用の燭台を先に部屋に差し入れる。
 
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