英雄として死んだはずの夫が、隣国で結婚して私への褒美を盗みに来ました
 深い緑色の短い髪に、赤い瞳。
 やや痩せて老け込んでも見えるその顔にはシワが刻まれている。

 男は燭台の火に目を細め、警戒したように腕を上げて顔を隠した。

 それでも私にはすぐに分かった。
 見間違えるはずもない。
 だけどここにいるはずもない人物。

 そう私の夫……だった人とでも言うべきなのだろうか。

「アレン、あなたどうして……」

 私は今何を見ているのだろうか。
 もしこれが夢だとするならば、酷く質の悪いものだろう。
 
< 3 / 21 >

この作品をシェア

pagetop