英雄として死んだはずの夫が、隣国で結婚して私への褒美を盗みに来ました
 国の偉い人たちに言わせると、今年の夏長雨が酷く続いたせいで農作物が上手く育たなかったことが原因だろうとのことだった。

 本格的な収穫を迎える前に、攻め入って全て奪ってしまおうという魂胆なのだろう。

 だけど……。

「アレン……私は……」

 泣きそうになりながら、彼を見た。

 いつもの服装ではなく、銀製の鎧に身を包む彼。
 その胸にはこの侯爵家の紋章が描かれている。

 この侯爵家は、代々国を護る騎士を多く輩出してきた一族だ。
 だから彼の担う役割も十分理解している。
 
「泣かないでくれ、エルザ。これは我が侯爵家の務めなんだ」
「分かっています。分かっていますが……」

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