後ろの魔王様
「お、やんのか?」

「今ここちゃん侮辱した?誰の許可取って侮辱したんだテメェ?地味?どこが?宇宙一かわいいだろーが、目腐ってんのか?抉り出すぞオラ」


ひぃ〜〜?!
英くん、お怒りモードだ!!

この謎モードになると、なぜか私を褒めまくる。
……いや、ホントそれどころじゃないから!

このままじゃ英くんの拳が火を吹いてしまうし、私の羞恥心が爆発しちゃう!

──止めないと!!


「英くんっ!」

「あ、ここちゃんだァ」


今にも飛びかかろうと腰を落としていた英くんが、階段を駆け上がってきた私を見つけて目尻を下げた。

すぐに私のほうへ駆け寄ってきて、見えない尻尾をぶんぶんと振る。


「喧嘩しようとしてたでしょ?」

「……してないよォ」


わかりやすく目が泳ぎ、視線は斜め上へ。

なんて嘘がわかりやすいワンコなんだ……。


「飛びかかろうとしてたくせに」

「でも喧嘩してないしィ、約束破ってないもん」

「もうっ!私が来なかったら喧嘩してたくせに」

「コイツらがここちゃんのこと悪く言ったからァ」


私から視線を逸らし、総長らしき人を睨んだ。

八重歯を見せて、まるで唸るようにしている英くんの腕を軽くポン、と叩いて意識をこちらへ向かせる。


「もういいから、帰ろ。クレープ食べるんでしょ」

「はァい……」


私が階段を降りていくと、英くんは半歩後ろをくっついてくる。

その様子を、グループの人たちはポカンと口を開けたまま見送った。
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