唯織くんは素直にデレない
第1話
「うぉらぁあっ! 神戸(かんべ)唯織(いおり)ィィっ! 待ァちやがれェェえ!!」

「いやいや、待たねぇから!」

まだ開店前の薄暗い商店街を駆け抜ける。

店と店の隙間へ飛び込み、一気に裏路地へ。

ゴォッ、と風が耳元をかすめていく。

洗濯機の上で丸くなっていたギザ耳猫が、勢いよく突進してくる唯織に驚いて、
「ミャウ!」
と声を上げ逃げていった。

「ああ、ワリっ!」

振り返って後ろ向きで走りながら、片手でとったゴメンのポーズを猫の後ろ姿に送る。

そのついでにチラッと視線を投げると。

目つきの悪い男どもが3人。

変形学ラン姿で砂煙をあげながら、ドタドタ唯織に迫ってくる。





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