おかえりの温度
「……気持ちいい」
「うん、俺も」
嘉晴が微笑んで、私にキスをする。ゆっくり、ゆっくり、動きが奥へ奥へと深まっていくような感覚。奥に彼が届く度、身体が悦ぶのを感じる。
「……嘉晴」
「なに?」
「……もうちょっと……激しく、いい?」
嘉晴はまばたきして、笑った。
「疲れてると思ったから、遠慮してたんだけど」
「そうなんだけど……」
答えながらも、快感を求めて腰が揺れてしまう。嘉晴はどこか嬉しそうに笑った。
「わかった……待って」
私の膝を持ち上げて、奥に深く入る。
「あっ」
「ここ……ね……っ」
ずん、ずん、と律動が早く、深くなる。私は喘ぎ声をおさえようと手で口を押さえた。嘉晴がぐいぐいと腰を進めてくる。膝に添えていた手は腿の上にずれてきて、ずり上がっていく私の身体を固定する。
「っ、っ、はぁっ……!」
「くっ、ぅ、はっ……ぁっ……」
高ぶってきた快楽の波に、目が潤み、視界が歪む。
「っぁ、よし、はるぅっ……!」
「っは、はぁっ、はぁっ、い、くっ……!」
ギッ、ギッ、ギッ……とベッドが揺れて、私がのけぞったと同時に、嘉晴が低く呻いた。
ぜぇ、はぁ、互いに荒い呼吸をしながら、ぐったりとベッドに身を預ける。
「……重い?」
「……重くない、とはいえない」
嘉晴に聞かれて、さっきと同じ言葉を帰すと、息を整えながら身体を起こそうとしたので笑って背中に手を回した。
「冗談だよ……真似しただけ」
「ああ……そういうこと」
嘉晴が困ったように笑って、私の上にぺちょりと乗ってくる。
重いといえば重いけど、幸せな重みだ。何より、あったかくて、ドクドクと嘉晴の鼓動が聞こえるのが心地よい。
「……よく眠れそう」
「ふふ。ならよかった」
嘉晴は笑って、私の髪を撫でた。頬にキスをして、ゆっくり身体を引き、私に下着とズボンをはかせてくれる。
自分も身繕いを整えると、嘉晴は微笑んだ。
「他に、何かご要望は?」
「うーん……」
半分眠りの国に向かいながらも、私は笑う。
「……うでまくら……」
「はいはい」
「抱きしめて……」
「うん」
「あと……」
「うん。なに?」
「……おやすみ、嘉晴」
私に腕枕をして抱きしめた嘉晴は、優しく微笑んだ。
「おやすみ、泰子」
小さな子どもにするみたいに、額にそっとキスをして。
私はほっ――と息をついて、優しく髪を撫でる手が行き来する回数を数えるうちに、夢の中に溶けていった。

