【試し読み】転生公女は任期満了に伴い家族の元に帰らせていただきます~役立たずと捨てられましたが、『星詠み』は国を守る希少スキルですよ?~
 何が言いたいかというと、この予言スキルは、為政者にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルということである。
 未来がわかると、災害を回避することもできる。
 それが人災であれ天災であれ、何かしらの対策を取ることが可能となるのだ。
 国を治めるものにとって、何よりも怖いのが突発的な災害である。
 災害とまで言わなくとも、たとえば来年の夏は水不足になると言われたら、あらかじめその対策が取れる。
 他国でクーデターが起こると予言されたら防衛を固めることもできるし、他国のクーデターに乗じてその国の乗っ取りに動くことすらできるということだ。
 非常に便利であり、または危険でもあるこのスキルだが、幸か不幸か、「予言者スキル」が発現するものは極めて少ない。
 百万人の人がいたとしよう。
 その中で何かしらのスキルが発現する人はおよそ一万人程度。
 しかし「予言者スキル」が発現する人は、ひとりいればいい方だ。
 このように滅多に誕生しない特殊スキルであるため、国は躍(やっ)起(き)になって「予言者スキル」持ちを探した。
 だが、スキルの厄介なところは、いつ誰に発現するのかわからないということだ。
 子供の頃にスキルが発現するものもいれば、死ぬ間際に発現するものもいる。
 そして外見では判断がつかないため、当人以外にはわからない。
 ゆえに国としては自己申告に頼るしかなく、ウィーデル国では「予言者スキル」が発現したものには巨額な報奨金を出すと金で釣ってまでして、自ら名乗り出るように仕向けていた。
 そこまでしても、ここ百年ほどの間でウィーデル国の中に「予言者スキル」が発現したものはいなかった。少なくとも自己申告してきたものは。
 国としても、予言者スキルを持つものは金の卵を産む鶏のようなもので、いたらいたで幸運だが、いなくとも政治が停滞することはない程度に思っていたため、予言者スキル持ちが現れなくとも嘆くことはなかった。
 しかしそれは、あくまでも、自国の中においての話だ。
 もし他国に「予言者スキル」を持つものが現れたら、ウィーデル国はどうするだろう。
 ……前世でいえばそうねえ、核兵器を持たない国と保有している国くらいの差があるかしら?
 ゆえに大国ウィーデル国は焦るだろう。
 これまで取るに足らないと思っていた国が、突然巨大兵器を手に入れれば、何が何でもその兵器を奪い取りたいと思うに違いない。
 それがさらに、かつて支配下に置いていた国であるならばなおのこと。
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