夜桜顛末記
自分の部屋とは、普通の人は落ち着ける場所なのだろう。
普通の人は。
でも、きっと私は普通じゃない。
自分の部屋が嫌いな時点で。
私は自分の部屋の扉を開ける。
1番最初に目に入るのは、棚に並べられたたくさんのトロフィーや賞状。
だが。
トロフィーは並べ方が無造作だし、賞状の入った額縁も埃かぶっている。
田辺莉華。
小さな頃からアスレチックで遊ぶのが好きだった。
それを見た両親が軽い気持ちで莉華にパルクールと言うものを教えた。
6歳の時に初めて出場した、スピードを競う大会。
有名なスクールに通っているわけでもない。
完全に独学なのに。
初出場の大会で、第二位と圧倒的な差をつけて優勝。
中学生の時に出場したジュニアの全国大会でも優勝。
周りの人からは「天才」と呼ばれた。
でも、人生とはそんなにうまくいくものではない。
高校に入ってから、思うようにタイムが伸びなくなった。
小さな頃は楽に突破できた障害物も、なぜか難しく感じてしまって。
全国大会にも行けなくなり。
そのまま、今に至る。
パルクールはもうやめてしまった。
唯一の強みだったパルクールをやめた。
それは大きなことだった。
そもそもパルクールがよくできるだけで、頭がそんなに良いわけでもない。
高校も、偏差値はそこまで高くない、同じ中学から何人も行くような高校に進学した。
勉強だって、今までまともにしてこなかったのだ。
高校3年生の今、進路には悩まされている。
それに。
高校には、自分の過去を知っている人もいる。
だから、周りが、学校が嫌いなのだ。
小学校から同じ男子に「やい、『元』天才!」と言われた時は、どれだけ苛立ったか。
…私、やっぱり話かけにくいんだよな。
自分でもわかっている。
授業だって真面目に受けない。
感情が表に出ない。
人と積極的に関わろうとしない。
あまり話しかけやすい人ではない。
私はため息を吐く。
…ほんと、めんどくさい。
その時、下の階から母さんの声が聞こえたような気がした。
「莉華ー?
私ちょっと出かけてくるから、肉じゃがの火、見ておいて!」
「はーい」
適当に返事をする。
…あーあ。
妙に気鬱なこの感じ。
何とかならないのかな。
普通の人は。
でも、きっと私は普通じゃない。
自分の部屋が嫌いな時点で。
私は自分の部屋の扉を開ける。
1番最初に目に入るのは、棚に並べられたたくさんのトロフィーや賞状。
だが。
トロフィーは並べ方が無造作だし、賞状の入った額縁も埃かぶっている。
田辺莉華。
小さな頃からアスレチックで遊ぶのが好きだった。
それを見た両親が軽い気持ちで莉華にパルクールと言うものを教えた。
6歳の時に初めて出場した、スピードを競う大会。
有名なスクールに通っているわけでもない。
完全に独学なのに。
初出場の大会で、第二位と圧倒的な差をつけて優勝。
中学生の時に出場したジュニアの全国大会でも優勝。
周りの人からは「天才」と呼ばれた。
でも、人生とはそんなにうまくいくものではない。
高校に入ってから、思うようにタイムが伸びなくなった。
小さな頃は楽に突破できた障害物も、なぜか難しく感じてしまって。
全国大会にも行けなくなり。
そのまま、今に至る。
パルクールはもうやめてしまった。
唯一の強みだったパルクールをやめた。
それは大きなことだった。
そもそもパルクールがよくできるだけで、頭がそんなに良いわけでもない。
高校も、偏差値はそこまで高くない、同じ中学から何人も行くような高校に進学した。
勉強だって、今までまともにしてこなかったのだ。
高校3年生の今、進路には悩まされている。
それに。
高校には、自分の過去を知っている人もいる。
だから、周りが、学校が嫌いなのだ。
小学校から同じ男子に「やい、『元』天才!」と言われた時は、どれだけ苛立ったか。
…私、やっぱり話かけにくいんだよな。
自分でもわかっている。
授業だって真面目に受けない。
感情が表に出ない。
人と積極的に関わろうとしない。
あまり話しかけやすい人ではない。
私はため息を吐く。
…ほんと、めんどくさい。
その時、下の階から母さんの声が聞こえたような気がした。
「莉華ー?
私ちょっと出かけてくるから、肉じゃがの火、見ておいて!」
「はーい」
適当に返事をする。
…あーあ。
妙に気鬱なこの感じ。
何とかならないのかな。