夜桜顛末記


ぱちりと、音が聞こえた気がした。
なんだろ。
火の音に似ているが、キッチンの火の音がここまで聞こえるはずがない。

…気のせいか。

私はそう思って、スマホに手を伸ばす。
いつもこうだ。
現実から目を逸らして好きなことをしてしまう。

…なんか臭い。

ぱちっとした音が聞こえてからしばらく。
変な匂いがする。
何の匂い?
記憶をさかのぼれば。
お母さんが肉じゃがの話をしていた。

…あ、肉じゃが!
焦がしちゃったかも!

まずいと思って、自分の部屋の扉を開けてキッチンへ向かおうとする。
階段を降りようとした時。

…なに、これ。

視界いっぱいに映ったのは、燃え盛る炎だった。
観葉植物にも火がついて。
近づくのも無理なくらいに熱い。
火事だとはわかる。
逃げなきゃ。
わかっているのに。
怖くて。
足が動かない。
突然、視界がぼやける。
その場に膝をついた。
頭がくらくらする。

…あれ、私…。

そのまま、視界が暗く染まり。
何が起きたかわからないまま、私は意識を失った。
< 4 / 4 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop