冷静な天才外科医の弱点は、私でした
ーーこの人、話が早い。
それが、何度目かの会議で私が抱いた感想だった。
「この設備についてですが」
「三年目から導入しましょう」
「……即決ですか?」
「必要性はわかっています。ただ、今期に入れる必要はない」
「ですが、先生が最初に出した案では――」
「最初の案より、今の案のほうがいい」
あっさりと変えてしまう。
彼は決して、自分が最初に出した案に執着しない。
「先生、自分の案を変えるの、抵抗ないんですか?」
思わず聞いてしまった。
宗形先生は不思議そうに私をまじまじ見ると、
「より良い方法があるなら、変えるのが普通でしょう」
そう何でもないことのように言い切った。
その言葉に、少しだけ驚く。
この人は、自分のプライドを守るために仕事をしているわけではない。
望みは最初から一つで、“患者さんを救うこと”が全てだ。