冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 そのために、自分の意見であっても必要なら捨てる。

 少し羨ましい柔軟さだ。


「じゃあ、ここは私の案でかまいませんか?」

「はい」

「本当にいいんですね?」

「仲山さん」

「はい?」

「あなたは、俺を何だと思っているんですか」

「……怖い人?」


 即答すると、宗形先生の眉がわずかに上がる。

 ……まずい、正直に言い過ぎた。


「正直ですね」

「……申し訳ありません」

「別に」


 そう言って、彼は資料へ視線を戻した。

 彫刻のような横顔を見ながら、私は思う。


 ――やっぱりこの人、思っていたよりずっと仕事がしやすい。


 もちろん、意見がぶつかることも少なくない。


「この人員配置では無理です」

「現場としては必要です」

「必要なのはわかっています。ですが今の人数では維持できません」

「では、どこを削るんですか?」

「削るのではなく――」


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