冷静な天才外科医の弱点は、私でした



 けれど、その後に別の部署で人員削減が行われた。

 老朽化した設備の更新が延期されて、職員の研修も中止になった。

 もちろん、すべてがあの設備更新のせいだったわけではない。

 病院の経営状況や人件費、ほかの設備投資。

 さまざまな事情が重なっていた。

 それでも、私は忘れられなかった。

 目の前の「救いたい」を優先した結果、その陰で別の誰かが我慢を強いられたことを。

 だから私は学んだ。

 病院は、一つの診療科だけで成り立っているわけではない。

 一人の患者さんだけを見ていてもいけない。

 目の前の命を救うためにも、その先まで病院を残さなければならない。


「必要なのはわかっています」


 私は静かに続けた。


「私も早く始めたいです」


 そして、宗形先生をまっすぐ見た。

 目を逸らしたら負けだ、と自分に言い聞かせながら。

 ぎゅっと手を握る。


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