冷静な天才外科医の弱点は、私でした
私が仕事を終えるまで、本当に宗形先生は待っていた。
「終わりました」
経営企画部の外で待機していた宗形先生が立ち上がる。
「お疲れさま」
そして、私にそっと近寄って目を合わせた。
「ひかる」
初めて名前で呼ばれた。
「……はい」
「俺は、君が好きだ」
涙が滲む。
「……私も」
宗形先生が目を見開く。
「私も好きです」
「……」
「ずっと前から」
宗形先生が小さく息を吐く。
「よかった」
その一言だけで、十分だった。
「先生」
「それはやめて」
「じゃあ、圭さん?」
「それも嫌」
宗形先生が私の手を取る。
「圭」
私は困ってしまう。
「……圭」
その瞬間、圭が嬉しそうに笑う。
「もう一回」
「そんなに呼ばれたい?」
「うん」
「……圭」
今度は、私も笑った。