冷静な天才外科医の弱点は、私でした
「本当に重いですね」
「今さら?」
「……そうですね」
私は圭の手をそっと握り返す。
「でも、嫌じゃないです」
「それはよかった」
圭が優しく、目元を緩ませて笑った。
誰にでも見せる顔じゃない。
私にだけ向けられる、安心したような顔だ。
誰もが知る、完璧な天才外科医で、何でもできて、誰より強くて。
決して弱さを見せない男。
そんな彼が、私の前では甘い顔を見せる。
私も、彼の前では頑張りすぎない。
完璧じゃない自分を、そのまま受け入れてもらえる。
きっと私たちは、そうやって互いの居場所になっていく。
そして私は知っている。
どれほど完璧なこの人にも、どうしようもなく心を乱されることがある。
それは、私が笑うこと、私が隣にいること、私が彼の名前を呼ぶこと。
そして、私が彼を好きでいること。
ーー完ーー


