冷静な天才外科医の弱点は、私でした
画面を確認して、少し困った顔をする。
「ごめん、俺、これから医局に戻らないと。さっき呼び出しがあったの忘れてて……食事の件は、また今度でいいよ」
高瀬先生はそう言って、私に軽く手を振った。
「じゃあ、また明日」
「はい。お疲れさまです」
「宗形先生も」
「お疲れさまです」
高瀬先生が去っていく。
その背中が見えなくなるまで、私は黙っていた。
隣にいる圭も、何も言わなかった。
けれどしばらくして、私の手に圭の指が触れた。
「先生?」
そのまま、手を取られて指と指が絡む。
仕事中の病院で、こんなふうに手をつながれるなんて思っていなくて、私は目を丸くした。
「……圭」
呼び方を変えると、圭の指がわずかに強くなる。
「嫉妬してる?」
「してる」
「……そんなに?」
いつもの冷静な顔なのに、手だけは正直だった。