あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。


そのとき。

「湊?」

後ろから声がした。

私たちは振り返った。

そこに立っていたのは、

綺麗な女の子だった。

長い髪。

優しそうな笑顔。

そして、

湊を見る目がとても自然だった。

「……莉奈」

湊が名前を呼ぶ。

女の子は笑った。


「やっぱり湊だった」

「久しぶり」

「うん」

そして、

彼女は私を見る。

「……この人は?」

「美月」

湊が答える。

「高校の友達」

胸が少し痛んだ。

今の湊にとって、

私は「高校の友達」。

彼女は笑って、

「初めまして」

と言った。

「水野莉奈です」

「桜井美月です」

「……桜井美月」

莉奈が私の名前を繰り返す。

そして、

少しだけ目を細めた。

「そっか」

「?」

「ううん。なんでもない」

莉奈は湊を見る。

「湊、今日病院だったんでしょ?」

「うん」

「ちゃんと先生の話聞いた?」

「聞いたよ」

「本当に?」

「本当だって」

二人のやり取りを見ていると、

胸の奥がざわついた。
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