あなたが私を忘れても、わたしはあなたを忘れない。

第6話「今の僕を好きになって」

翌日の朝。

目が覚めてすぐ、私はスマートフォンを手に取った。

湊からのメッセージは、まだ届いていなかった。

昨日はあんなにたくさんやり取りしたのに。

少しだけ寂しくなって、すぐに自分で笑ってしまう。

何を期待しているんだろう。

昔は、毎朝のように「おはよう」と連絡をくれた。

学校に着いたら会えるのに、それでもメッセージを送ってくれた。

『今日、髪型違う?』

『寝癖ついてるよ』

そんな、どうでもいいことばかり。

でも、私にとっては全部が大切だった。

今の湊は、そんなことを覚えていない。

それでも。

もう一度、同じような朝を迎えられたらいいなと思った。

そのとき。

スマートフォンが震えた。

【おはよう】

湊からだった。

思わず笑ってしまう。

【おはよう!】

すぐに返事を送ると、続けてメッセージが届いた。

【今日、暇?】

【暇だよ】

【じゃあ、デートしない?】

「……えっ」

思わず声が出た。

デート。

たった四文字なのに、心臓がうるさい。

【デートって?】

そう送ると、すぐに返事が来た。

【デートはデートでしょ】

【誰と?】

【美月と】

私は枕に顔を埋めた。

忘れてしまっても。

こんなふうに、私をドキドキさせるところは変わらないんだね。
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