恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「全然大丈夫だよ。いつも通りだから」

 和香はののかに向き直ると、静かに口角を上げて微笑んで見せた。
ののかの瞳には、きっとその笑顔が悲しみを隠すための痛々しい強がりに映っているのだろう。彼女はふっと顎を上げ、勝ち誇ったように目を細めた。

「ふふ、無理しないでくださいね?困ったことがあったら、いつでも相談に乗りますから」
「……ありがとう」

 エレベーターの扉が開き、二人でフロアへ足を踏み出す。
ののかの後ろ姿を見つめながら、和香は彼女が本当に帆高のことが好きなのだと感じていた。
 ののかのように可愛らしく、男性からの視線を集め慣れている女性なら、自分から追いかけるような恋などしそうにない。けれど、相手があの帆高となれば話は別なのだろう。
 フロアに到着し、自席でPCを立ち上げてしばらく経った頃、自動ドアが開いて帆高が出社してきた。
 すでに二人が付き合っているという噂は社内のほとんどの部署に知れ渡っており、周囲の社員たちの視線が自然と二人へと集まる。ののかもまた、獲物を狙うかのように素早く立ち上がり、帆高の元へと近寄っていった。

「帆高さん、おはようございます!!」
 可憐な笑顔で声をかけるののかに対し、帆高はカバンを持ち直しながら短く応じた。

「…おはようございます」

 短く素っ気ない返事をする。
そして帆高は、ののかの顔を見るどころか、一切目を合わせようともしなかった。

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