恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 ののかはすぐさま笑みを引き戻し、何事もなかったかのように親しげな距離まで踏み込んできた。

「帆高さん、昨日のコンペ資料の続きなんですけど、打ち合わせスペースで一緒にやりませんか?」

 チラリと和香の方へ勝ち誇るような視線を送りながら、ののかは資料を胸元に抱えて見上げる。
だが、帆高の手はデスクの上のノートPCを閉じることもなく、淡々とキーボードを叩き続けていた。視線すら画面に向けたまま、静かな声が響く。

「二人きりでの作業は断らせてもらいます。やるなら、あそこの全面ガラス張りの会議室にしてください」
「え……?ガラス張り、ですか……?」

 思いがけない条件に、ののかの声が裏返る。

「ええ。変な誤解が生じても困りますし、密室でのやり取りは避けるよう徹底していますから」

 冷ややかな拒絶だった。
帆高の追求はそれだけでは終わらない。
 彼の手がピタリと止まり、ようやくののかへと顔を上げられたが、その瞳には一切の温度が宿っていなかった。

「それと、今回のコンペ準備ですが、企画の規模に対して二人だけでは明らかに人員が不足しています。そのため、すでに上司に掛け合って増員の手配を済ませておきました」
「増員……?でも、二人で分担した方が、」
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