恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 彼が去り、テーブルに二人きりの空間が訪れると、帆高は静かに「いただきます」と小さく口にして箸を動かし始めた。そして、一口咀嚼したあと、低く静かな声を落とす。

「俺にも言ってくださいよ。不安とか、不満とか」
「当然だよ!なにかあったらちゃんと言うから。大丈夫」
「本当に?」
「……うん、本当」

 和香が答えると、帆高はすっと長い手を伸ばしてきた。
今日は珍しく下ろしていた和香の髪を、その長い指先で優しく掬う。
首を軽く傾げた彼は、どこか切なげで寂しそうな笑みを浮かべていた。

「和香さんは、すぐ無理するところがあるから。俺が先回りしないと」
「……っ」

 髪の毛の一本一本にまで神経が通っているのではないかと思うほど、触れられた部分から熱が伝わり、そこに意識が集中してしまう。自分の頬が一気に上気していくのがはっきりと分かった。
 食堂のただ中でこれ以上この甘い毒に晒されたら身が持たない。
和香は慌てて食器を持ち上げた。

「ご、ごちそうさま!先に行ってるね!」

 勢いよく立ち上がった和香に、帆高は「はい、分かりました」と穏やかに返事をした。

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