恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 帆高からの刺さるような視線が痛い。
和香は動揺を悟られないようできる限り彼を見ないように意識しながら、正面に座る俊介へと視線を向けた。

「どういう内容の話をしてたんですか?」
「二人、付き合ってるって周囲も知ってるのに、橋川さんすごい度胸だよねーって思ってさぁ。ほら、周囲の側からすれば、あそこまであからさまに割り込まれると、正直仕事もやりにくいんだよね」

 俊介が心底参ったというように肩をすくめると、隣の帆高が静かに言葉を挟んだ。

「それはすみませんでした。僕の方からも、紛らわしい行動はやめてくれと言ってはいるんですが」
「いやいや、久東君はむしろ被害者みたいなもんでしょ?君がちゃんと節度ある対応をしてるのは見ててわかるよ。ただ、同期として水瀬が傷ついてないか心配でさ」
「私は全然大丈夫だってば」

 和香は苦笑いを浮かべた。ちなみに俊介にはすでに婚約中の女性がおり、和香とは異性としての感情など一切ない完全にクリーンな同期関係だ。しかし、その事情を知らない帆高は、底知れぬ圧を孕んだ眼差しでじっと和香を見つめ続けている。

「まー、同期として心配だったんだよ。じゃ、俺は先に失礼するよ」

 俊介はお盆を持ち上げると、軽やかな足取りで席を立っていった。
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