恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「日本庭園の見える天ぷら店…。なら、このホテルの本館三階にある『錦庵』ですね。あそこは個室の接待や会食でよく使われます。和香さん、ゆうとくんを抱っこできますか?すぐに行きましょう」
「え、あ、うん…」

 帆高の洞察力と機転により、一気に目星がついた。
和香がゆうとくんを抱き上げ、帆高の先導でホテルの本館三階へと向かう。神楽坂もまた、静かな足取りで二人の後ろをついてきた。
 天ぷら店『錦庵』の受付に到着し、店員に「ゆうとくんというお子様のお連れ様はいらっしゃいませんか」と尋ねると、店内奥から顔を青ざめさせた女性が飛び出してきた。

「優斗じゃないの!!」
「おかあさん……!っ、ごめんなさい」

 母親の姿を見た途端、ゆうとくんの瞳から一気に涙が溢れ出し、和香の腕から飛び出すようにしてお母さんの胸へと飛び込んだ。
 会食の途中で子供がいなくなり、必死で探していたというお母さんは、涙を流しながら和香たちへ何度も何度も頭を下げた。

「本当に、本当にありがとうございました…。なんとお礼を申し上げたらいいか…」
「無事に見つかって良かったです。もう一人で離れちゃダメだよ、優斗くん」
和香が優しくほほ笑むと、優斗君は照れくさそうに涙を拭いながら「ありがとう!」と元気よく手を振った。

< 124 / 190 >

この作品をシェア

pagetop