恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 無事に優斗君が母親の元へ戻り、安堵の静けさが広がった。
しかし、残された三人の間には、一転して重く張りつめた空気が流れ始めていた。

「神楽坂さんが和香さんに特別な感情を抱いていることは、何となくですが分かりますよ」

 静寂を破ったのは、帆高の低く静かな声だった。
彼は和香を守るように前へ立つと、静かに神楽坂を見据えた。

「ですが、和香さんを強引に連れ出すような真似は二度としないでください」
「あはは、少し強硬手段に出ただけですよ。和香さんがあまりにもこちらに見向きもしないものでね」

 神楽坂は薄い唇に嘲笑を浮かべて肩をすくめる。
その言葉に、帆高の切れ長な瞳が鋭く光った。

「そりゃそうでしょう」

 一切の容赦のない冷徹な声とともに、帆高は和香の肩をぐっと自分の胸元へと引き寄せた。
 目の前で己の所有権を主張するかのようなその動作に、神楽坂の瞳にもすっと敵意の色が宿る。

「……ですが、和香さんのご実家との話では、婚約者は私の方ですよ」
「本人の意思を無視したものを、婚約などと勝手に呼ばないでいただきたい」
 互いの視線が空中ではじけ飛び、剣呑な雰囲気が漂う。
二人にはさまれ、胸を痛めながら落ち着かない様子で目線を泳がせていた和香は、たまらず二人の間に割って入るように声を張った。
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