恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「一体、何の騒ぎだね」

 低く重厚な声とともに、部長が眼鏡のブリッジを指で押し上げながら、鋭い視線でフロア全体を見渡した。その圧倒的な威厳に、野次馬決め込んでいた社員たちも一瞬で居住まいを正す。
 すさかさず、ののかが擦り寄るように部長へと駆け寄り、必死の形相で声を張り上げた。

「部長!コンプライアンス違反とまでは言えなくとも、社内の秩序を著しく乱す不適切な行動をとっている社員がいまして……っ!」

 ののかが最後まで言い切る前に、部長は「はぁ……」と短く溜息をつき、一回咳払いを挟んでそれを遮った。

「そうですか。その件については、後ほどあなたからじっくり話を聞くとして……まずは久東君。例の件だが、もう時間だからね」

 部長が手招きすると、フロアの関心は一気にののかから帆高へと移った。

本来、内示の交付は別室で行われるのが通例だが、部長は周囲の視線を気にする素振りも見せず、折りたたまれた書面を帆高へ手渡した。

「おめでとう。最年少で『マネジメント試験』に合格だ。…まあ、隠す必要もないだろう」
「えっ…、マネジメント試験合格?若すぎない?」
「久東君が……最年少合格?」
「いや、でも彼の普段の仕事ぶりを見たら当然…だよな」
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