恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
しかし、逆らえば東和商事からの莫大な支援はおろか、会社そのものを潰されかねないという現実を悟り、ついに諦めたように深く視線を落とした。
「……っ、わかった。すべて、君の言う通りの条件にしよう」
「あなた……っ!本当にいいの!?それじゃあ、私たちのメンツや、うちの会社は……っ!」
「…こうするしかないだろう!」

 父親の弱々しく絞り出すような叫びに、母親は絶句し、その場に崩れ落ちた。
幼い頃から自分を抑圧し、都合のいい道具として扱ってきた両親が、自分たちの強欲さと計算高さによって自滅していくその光景を目にして、和香の胸の奥から長年の重荷がすうっと消えていき、溜飲が下がっていくのを感じていた。

 一連の不毛なやり取りを終始面白そうに眺めていた神楽坂は、未だに崩れることのない涼しい顔のまま、整った身だしなみを整えた。

「では、私はこれで失礼しますよ。水瀬社長、奥様、お邪魔しました」

 神楽坂は洗練された動作で優雅に頭を下げるや否や、未練など微塵もない様子で応接間を後にした。

「行こう」
「うん」

 和香と帆高は一瞬だけ目を合わせると、静まり返る応接間と両親を後にし、去っていく神楽坂の後を追って部屋を飛び出した。

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