恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 自分の誕生日をすっかり忘れていたというのに、帆高は当たり前のように覚えていてくれた。
 過密なスケジュールと多忙な日々の中でも、自分を最優先に想い続けてくれていた彼の温かい愛に、和香の目には感動の涙がじんわりと溢れ出してきた。

「あ、ありがとうございます…」
「お礼なんていりません。俺の方こそ、あなたと一緒にいられて幸せなんですから。こうして和香さんの誕生日を隣で祝えることが、心から嬉しいんです」

 そう言って愛おしそうに目を細めると、帆高はジャケットの内ポケットから、ひとつ手頃な大きさの小さな箱を取り出した。
 和香が「え……?」と首を傾げると、差し出されたその上品なネイビーのベルベットボックスに、パチパチと目を丸くさせた。

「え?これって……」
「俺と結婚してください」

まっすぐで、一切の迷いもない力強い声。

「俺は、世界で一番和香さんを愛しています。これからの人生を、俺と一緒に歩んでくれませんか」
「……っ」

 それは、思いがけない場所で贈られた、一生に一度のプロポーズだった。
まさか今日、こんな素敵なサプライズとともにプロポーズされるなんて思ってもいなかった和香は、感極まって涙で真っ赤になった瞳を、愛しい彼へまっすぐに向けた。

「…もちろん。私こそ……私でよければ、よろしくお願いします」

 差し出されたボックスが開かれると、そこには息をのむほど美しく澄んだダイヤモンドが、店内や夜景の光を受けて優美に輝いていた。
 帆高の長く綺麗な手が優しく和香の手を取り、慈しむようにそっと左手の薬指にその指輪を嵌めてくれた。
それは、どんな夜景よりも、世界で一番美しく輝いて見えた。

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