恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
スタッフに恭しく案内され、夜景が見渡せる特別な席に着く。
「どうしたの?こんな素敵なレストラン…会社終わりじゃなくて、休日にゆっくり来た方がよかったんじゃない?」
まだ事態を飲み込めず困惑気味の和香に、帆高は柔らかく微笑んだ。
「たまにはいいでしょう?平日の夜だからこそ、特別な時間を過ごしたかったんです」
そう言って促されるまま、目の前に運ばれてきた華やかなコース料理に視線を落とすと、和香の瞳が思わず輝いた。
盛り付けの美しさと芳醇な香りに食欲が刺激される。ちょうどお腹が空いていたこともあり、なぜ今日という日にこんな素敵な場所で食事をしているのかという疑問は、いつの間にか綺麗に頭の中から消え去っていた。
帆高とたわいのない会話を交わしながら、美味しい料理に舌鼓を打っていると、突然、お店の奥からウェイトレスがこちらへ何かを運んでくるのが見えた。
「え…?」
「和香様、お誕生日おめでとうございます」
「あ……っ!そ、そうだった……!」
テーブルにそっと置かれたのは、色とりどりのフルーツと繊細なデコレーションで彩られた特別なバースデープレートだった。
今日が自分の誕生日であったことを、和香はここで初めて思い出した。
ここ最近は社内騒動や実家との対峙などで怒涛の日々を送っていたため、自分の生まれた日のことなど完全に頭の中から抜け落ちていたのだ。