恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「ど、どういう……こと……?」
「そのままの意味です。俺たちは結婚しました」

 どこまでも淡々と事実だけを告げる帆高とは対照的に、菜子は顔から血の気を引かせ、口をあわあわと動かしていた。まるで、自分以外の世界がすべて崩壊してしまったかのような絶望の表情を浮かべている。

「し、失礼しますっ…」

 耐えきれなくなった菜子は、床に落とした高級ブランドの紙袋を回収することすら忘れ、そのまま脱兎のごとく部屋を飛び出していってしまった。
バタンと重厚なドアが閉まる音が応接室に虚しく響き渡る。
あまりの展開の早さに、和香はパチパチと目をしばたたかせた。すでに誰もいなくなった扉の方へ視線を泳がせながら、ぽつりと呟く。

「……だ、大丈夫かな……あんな風に出ていっちゃって」
「大丈夫ですよ。あの人は昔から、自分の思い通りにならないとすぐああやって取り乱す人なんです」

 帆高は面倒そうに深く息を吐き出すと、かがんで床に置き去りにされた紙袋を持ち上げた。
中身を確かめる素振りすら一切見せず、いつの間にか背後に立っていた紗枝さんへとそのまま手渡す。
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