恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
「紗枝さん、これ……後で菜子さんに返しておいてもらえますか?毎年『いらない』と言い続けているのに、勝手に持ってこられても困るので」
「そうねぇ……あなたももう結婚したわけだし、私からきちんとお返ししておくわね。菜子ちゃん、あなたのことが本当に好きだったのねぇ……」
困ったように眉尻を下げて苦笑いする紗枝さんと、「まったく興味がない」と言いたげに呆れ顔を浮かべる帆高。 二人のやり取りを交互に見つめながら、和香の胸の奥には、どこかすっきりと割り切れない、モヤモヤとした複雑な感情が残されたままだった。
――…
…
久東の本家を後にし、二人の暮らす新居のマンションへと帰宅した後も、和香の胸に広がったモヤモヤは晴れないままだった。
(……あんなに可愛くて、育ちも良くて、帆高くんの幼馴染で。私なんかより、菜子さんみたいな女性の方が久東家にはお似合いだよね。私なんかでいいのだろうか)
リビングのソファーに腰掛けたまま、完全に自分の世界に入り込んでボーッと窓の外を眺めてしまう。
そんな和香のただならぬ様子を隣でずっと見守っていた帆高は、心配そうに眉をひそめ、そっと隣へ腰を下ろした。
「和香さん?もしかして、さっきの菜子さんのこと、気にしていますか?」
ハッと正気に戻った和香は、慌ててぶんぶんと首を振ると、作り笑いを浮かべて見せた。
「えっ……あ、ううん!大丈夫、大丈夫だよ!ほんとに気にしてないから…」
だが、そのあからさまな嘘を、帆高が見逃さなかった。