恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
事件から数週間後。
あれ以来、帆高の口から菜子の名前が出てくることはまったくと言っていいほどなくなった。
けれど、正式に被害届を提出していたこともあり、警察からは細かな事情聴取を何度も受けることとなった。
和香にとっては、二度と思い出したくもないあの夜の恐怖を何度も言葉にしなければならず、精神的にも応える日々が続いていた。
しかも、あの高級会員制バーの店長までもが菜子とグルになって薬物の混入や個室の鍵の操作に関与していたことが判明し、和香は人間不信になりそうなほどのショックを受けていた。
「……和香さん?何か考えごとですか?」
ハッと顔を上げると、ちょうど隣のソファーに腰を下ろしたばかりの帆高が、心配そうに首を傾げて顔を覗き込んできた。和香のわずかな表情の変化を、彼はいつだって絶対に見逃してはくれない。
「ううん、ちょっとね」
そう言って笑顔を向けてみたものの、帆高の陰りのある表情は晴れないままだった。
「菜子さんのことなら、もう何も心配いりませんよ。彼女の実家とも久東家として完全に絶縁しましたし、俺も絶対に許すつもりはありませんから」
「……うん。そういうお話はもう警察の方や帆高君にお任せしているから、大丈夫。ただ、なんだか、毒はありそうだけど害まではない人なのかなって、勝手に思っていたから。少し世間知らずなお嬢様なのかなくらいに思っていたのに、あんな恐ろしいことまで計画するなんて……って、ちょっとね」
あれ以来、帆高の口から菜子の名前が出てくることはまったくと言っていいほどなくなった。
けれど、正式に被害届を提出していたこともあり、警察からは細かな事情聴取を何度も受けることとなった。
和香にとっては、二度と思い出したくもないあの夜の恐怖を何度も言葉にしなければならず、精神的にも応える日々が続いていた。
しかも、あの高級会員制バーの店長までもが菜子とグルになって薬物の混入や個室の鍵の操作に関与していたことが判明し、和香は人間不信になりそうなほどのショックを受けていた。
「……和香さん?何か考えごとですか?」
ハッと顔を上げると、ちょうど隣のソファーに腰を下ろしたばかりの帆高が、心配そうに首を傾げて顔を覗き込んできた。和香のわずかな表情の変化を、彼はいつだって絶対に見逃してはくれない。
「ううん、ちょっとね」
そう言って笑顔を向けてみたものの、帆高の陰りのある表情は晴れないままだった。
「菜子さんのことなら、もう何も心配いりませんよ。彼女の実家とも久東家として完全に絶縁しましたし、俺も絶対に許すつもりはありませんから」
「……うん。そういうお話はもう警察の方や帆高君にお任せしているから、大丈夫。ただ、なんだか、毒はありそうだけど害まではない人なのかなって、勝手に思っていたから。少し世間知らずなお嬢様なのかなくらいに思っていたのに、あんな恐ろしいことまで計画するなんて……って、ちょっとね」