恋の模範解答を教えて~年下君の甘い執着に落とされまして~【完結】
 和香をそっと抱き上げ、リビングのソファから寝室のベッドへと静かに移動させた。
 肌触りの良い掛け布団を優しくかけてからシャワーを浴び、帆高はキッチンへ戻った。
温め直したカレーとサラダをテーブルに並べ、一口口に運ぶ。

「……美味しい」

 思わず口から漏れた言葉には、深い噛み締めが含まれていた。
ののかとの疑惑を抱え、胸を痛めていたはずなのに。それでも和香は帆高を信じようとして、こうして好物を作って帰りを待っていてくれたのだ。
 自分は世界一幸せな男だと、溢れる愛おしさで胸が熱くなる。

 神楽坂の手から和香と妹の海を守ること、そして彼女を苦しめ続ける実家の両親との関係…―早急に対処すべき問題は山積みだった。

「……もう少し、だ」

 東和商事の社長後継者としての真の正体を社内や周囲に明かせるタイミングまで、あともう少しだけ時間がかかる。
 それまでの間、どんな手を使ってでも和香を守り抜かなければならない。
加えて、浅はかな罠を仕掛けてきた橋川ののかという女性社員の動向も、完全に芽を摘むまで警戒を怠るわけにはいかなかった。
 やるべき課題は山ほどあるが、寝室に戻り、すやすやと安心しきった顔で眠る和香の寝顔を見つめると、いくらでも闘えるという力が湧いてくるのを感じた。
「可愛い」

 そっと彼女の滑らかな髪を撫で上げ、帆高はベッドに入ると、愛おしい身体を壊さないよう腕の中に抱きしめて静かに瞳を閉じられた。




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