俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない

3話 ​常夜灯

すべての夜間巡視が終わり、病棟の廊下が薄暗い常夜灯の光に包まれる頃。

葵の病室のドアが、静かに、申し訳程度の音を立てて開いた。

​葵はベッドの上で身体を起こしていた。

ドアの隙間から滑り込んできた人影に目を細める。

​白衣を脱ぎ、濃紺のスクラブ姿の律だった。

手にはいつものカルテ端末(タブレット)はない。

両手は白衣のポケットではなく、どこか手持ち無沙汰そうに身体の脇に添えられている。

​「……律先生」

​「……起きていたのか。消灯時間は過ぎている」

​律は低く落ち着いた声で、足音を消すようにベッドサイドへ歩み寄った。

パイプ椅子をベッド脇に引き寄せ、すっと背筋を伸ばしたまま腰掛けた。

​「……すみません。明日退院だと思うと、少し胸が踊ってしまって……」

律は葵の手首を手に取り、脈を看る。

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