俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
「……脈拍の上昇は認められないな。まあいい」

​スクラブの生地越しに律の体温が伝わる。

​「……明日の朝、9時には退院手続きが完了する。書類も、持ち帰る内服薬の処方箋もすべて俺が最終チェックを終えた。ミスはない」

​「……ありがとうございます、律先生。何から何まで……」

​「礼を言われる筋合いはない。主治医としての当然の仕事だ」

​律はツンと視線を壁の薄明かりに向け、不機嫌そうに眉根を寄せた。

律は相変わらず素直になれない言葉だ。

そのまま静かに手を伸ばし、葵の細い指先をそっとすくい上げ包み込んだ。

​「……だが」

​静寂の中、律の低く滑らかな声が響く。

​「……俺は明日でお前の『主治医』として、この病室へ通わないんだな」

​葵は息をのんだ。

律の指先が、葵の掌を確かめるように優しく握り直される。

​
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