俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
直接対面して寂しさを見せないのも、いかにも彼らしい「氷の神の手」としての矜持なのだろう。

​廊下へ出ると、ナースステーションの前には葵の経過を見守ってきたスタッフたちが並んでいた。

高圧的にならず、厳格かつ論理的にチームを指揮してきた律のもとで、葵を命の危機から救い出したプロフェッショナルたちだ。

​「一ノ瀬さん、退院おめでとうございます」

​「お体、大切にしてくださいね」

​葵は温かい言葉と拍手に包まれながら、深く礼を尽くした。

​「……皆さんのおかげで、こうして自分の足で歩いて退院することができます。本当に、ありがとうございました」

​エレベーターで1階へ下り、病院の広い自動ドアを抜ける。

​肌を撫でる秋の風は少し冷たかった。

胸いっぱいに吸い込んだ外の空気は、驚くほど澄んでいて美味しかった。

​病院の敷地を出る手前、ふと葵は足を止めた。

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