俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
ガラス張りの大きな病棟ビルを振り返った。

​上層階にある心臓血管外科のカンファレンスエリア。

その窓際に、見慣れた美しいシルエットが立っていた。

白衣を風になびかせ、腕を組んで、こちらを見下ろしている男——律だ。

​遠く離れていても、律がどれほど鋭い眼光で葵の足取りと姿を「監視」しているかが痛いほど伝わってくる。

​葵は振り返ったまま、胸の前でそっと手を振り、深々と一礼した。

​すると窓際の律は腕組みをしたまま、ツンと僅かに顎を引いて頷いて見せた。

​『――無事に帰れ、葵』

​そんな声が、秋風に乗って聞こえた気がした。

​手に握りしめた外来予約票には、2週間後の日付と、律の自筆による寸分の乱れもない整った文字で「心臓血管外科外来 担当:御堂律」と記されている。

​「……2週間後、またお会いできますね。律先生」

​退院は終わりではない。
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