俺様で冷徹なハイスペック医師は ツンデレで不器用で激甘な素顔を隠せない
律は黒髪を微かな秋風に揺らし、正面の夕闇を見つめたまま低く呟いた。

​「……お前は、怖くないのか」

​「え……?」

​「1度は難病の試練で数値が崩れかけた。俺の治療プロトコルがなければ、お前の命はあの夜、途絶えていたかもしれない。……主治医である俺の存在を、重々しい、あるいは恐ろしいと感じないのか」

これまで1度も弱音を見せたことのない「氷の神の手」。

律の瞳に微かな揺らぎを感じて、葵は首を傾げた。

葵の手を握りしめる律の力が、ほんのわずかに強くなる。

​葵は包まれた手から伝わる真摯な温もりを感じ、しっかりと首を振った。

​「1度も、恐いと思ったことはないですよ。……律先生の厳しい指示も、徹夜で私を守ってくれたたことも……全部、私の命を繋ぎ止めるための愛情だと分かっていますから」

​「……愛情、か」
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