君を救うためのループが、私を殺すルールだった
私を抱きしめる守の手が、ガタガタと激しく震えているのが分かる。守の綺麗な顔が、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。

(泣かないで、守くん……。私、大丈夫、だから……)

声を出そうとしたけれど、口からはヒューヒューと変な音しか出なくて、血の味が口いっぱいに広がった。

(……あ、私、死んじゃうんだな……)

周りの人の悲鳴も、遠くから聞こえるサイレンの音も、だんだんと遠くの霧の向こうみたいに消えていく。私の視界はどんどん真っ黒に染まっていった。

だけど、完全に意識が消えるその直前。
私は、見てしまった。

血を流して倒れている私のすぐ隣。

       ・・・・・・              ・・・・
いつの間にか、全身真っ黒な、モヤモヤした人間の形をした『何か』がぽつんと立っていた。

そいつには目がなくて、顔の場所には底なしの真っ黒な穴が空いているみたいだった。
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