冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。
マキシミリアンは帰国してから今日までの話をジャスミンに聞かせた。

帰国してジャスミンの店に尋ねて行ったら、店が無くなっていて雑貨店になっていたのだ。

帰国前の半年間位は忙しく一日でも早く帰国したいと寝る間を惜しんで交渉に注力していて手紙もあまり出せていなかったと言う。

やっと何とか国王が納得するであろう成果を持ち帰ったらジャスミンがいない。

隣国との交渉もすんなりと言ったわけではなかった。

マキシミリアンは隣国の交渉に行き詰まっていた時にこの国に電磁石が豊富にある事を知った。

隣国とハメラニア共和国とに国交がなかったので、それを橋渡しして隣国は電磁石の輸入を決めた。

この事でこちらに有利な通商条約を結べたが期間は五年になった。

マキシミリアンはまたホランデリア王国にも電磁石の輸入を決めた。

ホランデリア王国で今使用している魔石よりも安価で使いやすいのだ。

その上充電もできる。言うことなしだ。

その交渉の件で先ほどのホリャンド殿下とも顔見知りになったのだ。

そういう苦労をして国に有利な結果を何個も持ち帰ったのに、国王にはのらりくらりとかわされて、高位貴族のご令嬢との婚約まで決められそうになった。

その後マキシミリアンはフレデイやデイジーからの話で、国王が謀ったのを知った。

あんな平民のジャスミンの事は忘れろと言わんばかりの対応に、マキシミリアンはぶちぎれた。

公務も放置して酒におぼれるマキシミリアンにシリアスが言った。

「殿下、しっかりなさってください。ジャスミン様を見つけて貰わないとデイジーが僕を許してはくれません。家族の者には誰も知らせないで出て行ったらしいのです」

「どうしたらいいのだ。行方が分からないなんて生きているのかも定かじゃない」

「いいえ、生きています。時々手紙が届いてカフェや雑貨店にアドバイスをくれるとデイジーが言ってました」

「それならその手紙に住所は書いていないのか?」

「その手紙は、シシリー様が持ってくるそうなのです。何でもカフェにかき氷機を持ってきてくれたのもシシリー様の店の者だそうです」

シリアスは殿下に小声で呟いて続けた。

「最近扇風機という風を送る物をバネストン商会が販売しましたよね。電磁石で動くものです。この王宮にも貴族の邸宅にも沢山売れたそうです。この辺が怪しくないですか?」

「すぐにシシリーとキンバリーに会いに行くぞ」

シリアスにそう言われてマキシミリアンはすぐにバネストン商会へ出向いた。

シシリーを呼び出すとジャスミンの居所を教えて欲しいとマキシミリアンは頭を下げた。

王族が頭を下げるなんて前代未聞だ。

「マキシム様、申し訳ありません。ジャスミンの居所は教えて差し上げられませんわ。家の商売の契約にも関わるのです」

「シシリー頼むよ。こうして殿下が頭を下げているんだから」

とシリアスが言うと、シシリーは憤怒の表情で

「頭を下げるくらいなんです。ジャスミンは家族を置いてこの国を退去させられたのですよ。たった一人で…家族にも居所を知らせてはならないと言われて、もし知れたら家族の商売もシリアス様の子爵位もどうなるかわからないと言われたのです」
< 78 / 100 >

この作品をシェア

pagetop