冷遇令嬢ですが、前世の知識と先見の力で運命の王第殿下と新しい国を作ります。
離れはジャスミン達の原点なのだ。

あの離れで領都に店を立ち上げ皆でアクセサリーやスイーツを作りベス家からもらえるお金も節約して王都に出るためにお金を貯めていったのだ。

皆にとっては懐かしく楽しい思い出の離れだった。

ジャスミン達はそうして汽車でベス領の近くまで行き後は馬車二台を連ねてベス領に帰った。

昔は馬車で四日かかったのに、汽車ができた事で朝出て夕方には領都に着ける。

時代も変わった物だとジャスミン達は感心した。

こんなに近くだったなんて思いもよらなかった。

そうでなければ小さな子供が五人もいるので、帰る決心はつかなかっただろう。

領都の領民たちは皆ジャスミン一行が領都に入る前に村はずれに集合し大歓声で迎えてくれた。

ジャスミンとフレデイは馬車を止めて領民たちに走り寄り誰かれ構わずハグをした。

ジャスミンが幼い頃領都をフレデイと歩き回って、皆にアドバイスして回っていたのを皆忘れていなかったのだ。

ジャスミンが勧めた農業組合は今では領地中に広がり、畜産組合も新たにできていた。

自分が進言した事を領民が頑張ってやっているのを見て嬉しかった。

離れに落ち着くと、母屋に父親の見舞いに三姉妹で出向いた。

父も母もすっかり年老いていた。

孫を見て涙を流していた。

二人はマイケルが生まれてからジャスミン達を離れに移しお金だけ渡して何もしなかったことを謝ってくれた。

まあそれがあって今のジャスミン達があるのだから三姉妹は何とも思っていないと言うのが本当の所だ。

リリーとデイジーにとってはジャスミンが頼りがいのある父親であり母親だったので、何の不安も感じることなくジャスミンについて行ったのだ。

両親は親とも思っていなかった。

七歳でジャスミン達と一緒に離れに移ったことも、楽しい思い出で苦労した事なんか一度もないのだ。

それは皆ジャスミンが防波堤になって守ってくれたからだ。

そしてジャスミンの言う通りにしていれば何の不安もない事を知っていたからなのだ。

両親にしてみればジャスミン達三姉妹がある日突然この家を出ていってしまったのだが、気付いたのは一年以上たってからだったそうだ。

ジャスミンの縁談も半年後に伸ばすと言った時点で向こうから断られていたそうだ。

その一年後また縁談がありジャスミンを呼びに行ったメイドが離れには誰も居ない事に気付いてわかったと言う何ともお粗末な話だった。

両親は自分たちの三姉妹に対しての関心の無さに気付かされたそうだ。

だから父親はジャスミン達を探す事はしなかったと言った。

ジャスミンの事だからきっとどこかでちゃんとやっていると確信していたそうだ。

それって何なの?いいのか悪いのか、見捨てたと取れない事もない。

いやきっと見捨てたのだろう。まっいいかと前向き思考のジャスミンの感想だ。
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