ソルが降る日

6 落下

 撮影も中盤にかかり、スタジオには人と機材が放つ熱気がこもっていた。

 連日の残業で、現場は欠伸を噛み殺すスタッフもいる。それでも、次のカットに向けた照明の調整が着々と進んでいた。

 ソルは少し離れた位置から、その光景を見ていた。

 ミリがいた。隣にはジフンが立ち、同じモニターを覗き込んでいる。距離は近くても圧迫感はなく、誰に対しても自然体だ。

 ミリの位置、ジフンの動き、機材の配置。視界に順に入る。ジフンが身を屈め機材を確かめると、ミリは動かず視線だけを落とすと、二人の距離が、静かに縮まった。

 そのとき、異変が起きた。

 照明から光を遮るための金属板が、一枚、剥がれ始め、音もなくミリの頭上に迫る。

 ミリは、まだ気づいていない。ソルの視界が、研ぎ澄まされる。

――距離、位置、板の向き。

 身体が動いた。地を蹴り、ミリとの間に入る。彼女を引き寄せ、背を向け、抱き寄せる。板は、ソルの右上腕に当たり、鈍い金属音がスタジオに響いた。

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