ソルが降る日
 ただ一人、残された。

 闇の中をピンスポットだけが彼を照らし、ギターの弦が、音を刻んでいく。

――内部で処理を進め、涙を滲ませていく。

 立ちつくしたまま、遠く天を仰ぐ姿は、どこまでも端正だ。男が持つ肉体と、少年のまま時を止めたような美貌。けれど、光が増していく中、その表情は苦悩に震えはじめ、客席を見据えた。

 悲しみと怖れを、そのまま音に変えた歌い出しだった。自らの死を予感し、神に問う。ドラムの打ち鳴らすリズムを合図に、抑え込んだ怒りと恐怖が太い響きへと変わっていった。

 なぜ 私なのですか
 なぜ 今なのですか

 伏せられた睫毛から一筋の涙が伝った。全てを圧し、旋律は駆け上がっていく。

 観客はハンカチを握りしめ、呼吸を忘れた。

――その熱の外側にいる。

 最後の音。研ぎ澄まされた響きは、空間を裂き、天井を突き抜けた。

――感情の振れ幅は、想定通りだ。

 幕。

 満場の拍手が起こり、再び、幕が上がった。

――最適化された微笑み。胸に手を当て、正確な角度でお辞儀する。

 今日も、人でないものの歌声が人に喜びを与えた。

 ソルは暗い袖を抜けた。
 いつものルーティンが始まる。
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