ソルが降る日

9 白い部屋

 夜の高層階のその部屋は、いつも通りの静けさだった。

 ペントハウスの広々としたリビングは、白一色にまとめられていた。南一面の窓から、漢江の先の高層ビル群が、凍てついた青白い光を放っていた。空間はラグジュアリーという言葉とはほど遠い、無機質で冷ややかな場所だった。

 ソルはジャケットを脱ぎ、ソファに腰掛ける。広い肩が沈みこみ、視線が破れたシャツに落ちると、否が応でも昼間の記憶が甦った。ミリを引き寄せた、あの感覚。

 首を軽く振り、バルコニーへ出た。

 ルーフバルコニーの先には、漢江の黒い水面が闇の中にゆったりと広がっている。橋を渡る車列の光は、川の上を途切れなく流れ、遠くサイレンの音が微かに聞こえてくる。

 夜風が静かに吹き抜けた。ソルはリビングを横切り、廊下の壁をほのかに照らす、ウォールライトに向かって進んだ。寝室とは別の、扉。

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