ソルが降る日

11 澄んだ人

 スタジオは変わらない朝を迎えていた。

 ミリは一番に到着し、現場を見渡す。セット、照明、空調の音。自宅より落ち着く場所だ。スタッフが次々に入り、一日が動き始める。ミリもヘッドホンを首にかけ、音響卓の前に立った。

 すぐ近くから、ボーイソプラノの澄んだ歌声が聴こえてきた。そこへ、男性の艶やかな歌声が重なる。

 スタジオにいる誰しもが手を止め、聴きいった。『JOURNEY』に出演している少年と、ソルだった。

「あっ……みんな聴いてる」

 少年は照れくさそうに笑う。

「君の声がきれいだからだよ。ルドルフ役オーディション、頑張って。今みたいに歌えれば大丈夫」

「はい! ソルさん、ありがとうございました。僕、がんばってきます」

 少年は嬉しそうにうなずき、二人は楽しそうに話しながら、香水店のセットに向かう。ミリはその背中を目で追っていた。

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