嘘つきシンデレラ〜地味男を選んだら、俺様御曹司に溺愛されました〜
約束の時間が近づくにつれ、星南の緊張は高まっていった。
今日は家の近くまで朔夜が迎えに来てくれることになっている。
家を出てからも、ショーウィンドウに映る自分の姿を見つけるたび、何度も確認してしまう。
(……やっぱり、ちょっと気合い入れすぎ?)
何度目か分からないそんな考えが頭をよぎったところで、目の前に黒の高級車が停まった。
そのまま、助手席の窓がゆっくりと下がる。
「星南」
当たり前のように呼ばれるようになった名前に、緊張が一気に高まった。
「こ、こんばんは」
「ん。乗れよ」
「うん……」
なるべく平静を装ってみるけれど、自然にできているかは自信がない。
星南が車に乗り込みシートベルトを締めると、ほどなくして静かに走り出した。
「久しぶり。つっても、二週間ぶりか」
「そうだね……朔夜は今週、地方出張だったんだっけ。お疲れ様」
「どーも。後ろに土産置いてるから、帰りに持って帰れよ」
言われて後部座席を見ると、縦長の紙袋が静かに置かれていた。
「ありがとう。ちなみに何買ったの?」
「現地の地酒。なかなか美味かった」
「地酒って……女性へのお土産としてどうなの?」
「けど、好きだろ?」
軽く笑った朔夜の顔に、またひとつ、胸が高鳴る。
こんなふうにくだらないことで軽口を言い合えるようになったことが、なんだかくすぐったい。
「……うん。好き……」
その「好き」が本当にお土産に向けられたものなのか、はっきりとは分からない。